コピーフォーム
□ハンドル
□メッセージ
なるほどね、と俺は妙に納得してしまった。 一番輝いて見えた小学時代さえ、この有様だ。 ただ、ひとつだけ救いはあった。 例の幼馴染だけどさ、あの子だけは、「一番のお友達」にこそ指名しなかったけど、手紙の文中で俺の名前を出してくれてたんだ。 いや、これを救いと捉えるのも相当むなしい話だが。 自分の手紙と幼馴染の手紙だけ抜きとると、俺はタイムカプセルを元あった場所に埋め直した。 去り際、ミヤギがタイムカプセルを埋めた場所の上に立って、地面を足でとんとんと均していたことを覚えてる。 終電は数時間前に駅を通過していた。 俺は駅の硬い椅子に寝そべって始発を待った。 異様に明るいし虫も多くて、寝るには最悪の環境だったな。 一方、ミヤギは全然平気そうでさ。 スケッチブックを取りだして、構内の様子を描いていた。 仕事の一環かな、と考えながら俺は眠りについた。 始発の数時間前に目を覚ました俺は、外に出て自販機でアイスコーヒーを買った。 変な場所で寝たせいで、体中があちこち痛んだ。 まだ辺りは薄暗かった。 構内に戻ると、ミヤギが伸びをしていた。 なんか、人間らしい一面をようやく見た気がしたな。 ああ、この子も伸びとかするんだ、って感心した。 感心ついでに、俺の中に、妙な感情が芽生えた。 余命三ヶ月っていう状況のせいかもしれない。 たび重なる失望のせいかもしれないし、連続した緊張、疲労や痛みのせいかもしれない。 起きたばかりで寝ぼけてたのかもしれないし、単にミヤギという子が好みだったからかもしれない。 まあ何でもいい。とにかくその時、不意に俺は、ミヤギに「酷いこと」をしてやりたくなったんだ。 自暴自棄の手本って感じだよな。どうしようもない。