コピーフォーム
□ハンドル
□メッセージ
ミヤギは心配そうな顔で言う。 「あの、皆見てますよ。変な人だと思われてますよ」 「いいよ。思わせとけよ。実際、変な人なんだから。 ……それでさ、あらためて駅で考えたんだけど、やっぱり俺にとっては、たとえどんなに変わり果てようと、幼馴染のあの子は、俺の人生そのものなんだよ」 「それで、どうしようっていうんですか?」 「最後に一度だけ、彼女に会って話がしたい。 そしてさ、俺に人生を与えてくれた恩返しに、俺の寿命を売って得た三十万を、彼女に渡したいんだ。 多分あんたは反対するだろうけど、別にいいだろ、俺の寿命を売って稼いだ俺の金なんだから」 「……そこまで言うなら、別に反対しませんよ。でも電車内で話すのは、もうやめましょう。 見てるこっちが恥ずかしいですよ」 とは言いつつも、ミヤギは妙に楽しそうだった。 家には帰らず、俺はそのまま街へ向かった。 トーストとゆで卵をコーヒーで胃に流し込むと、俺は深呼吸して、幼馴染に電話をかけた。 夜だったら会える、と幼馴染は言ってくれた。 好都合だった。こちらも色々と準備があるからな。 俺はミヤギの手を取って、ぶんぶん振りながら歩いた。 道行く人には一人でそうやってるように見えただろうけど、俺は気分がハイになってたから、どうでもよかった。 ミヤギは困ったような顔で俺に引っ張られるままにしてたな。 まず美容室へ向かい、二時間後に予約を入れた俺は、ショップに行って服と靴を買い、その場で着替えた。 新品の服を買うのなんて数年ぶりだった。 新しい服に着替えて髪を切った俺の姿は、なんだか俺じゃない誰かみたいだった。 ミヤギもまったく同じ感想をくれた。