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□メッセージ
六時ごろに目を覚まして、俺は歩いてアパートまで帰った。 街の外れでは朝市をやっていて、早朝から騒がしかった。 四時間くらい歩いて、ようやくアパートについた。 一昨日の件もあって、両腕両足が悲鳴を上げてたな。 もっと安らかに生きることはできないのかね、俺は。 シャワーを浴びて着替えると、寝なおした。 ベッドだけは俺を裏切らない。俺はベッドが大好きだ。 さすがのミヤギもそれなりに疲れたらしく、監視もほどほどに、すぐシャワーを浴びて、部屋のすみっこでうつらうつらしていた。 机の上には、書きかけの遺書があった。 だが、続きを書くのは何だか馬鹿らしかった。 誰も俺の言葉なんて気にしちゃいないんだ。 会いたい人もいないし、そうなると、いよいよすることがなくなってしまった。 散財しようにも金は昨日配りきってしまったし。 「何か他に好きなことはないんですか?」 ミヤギは俺にを励ますように、そう訊ねた。 「やりたかったけど、我慢してたこととか」 そこで割と真剣に考えてみたんだけど、俺、どうやら好きなことがあんまりないらしい。 あれ、今まで何を楽しみに生きたんだっけ?いよいよすることがなくなってしまった。 かつて趣味だった読書も音楽鑑賞も、 あくまで「生きていくため」のものだったんだよな。 人生に折り合いをつけるために音楽や本を用いてたんだ。 いざ余命三か月となると、何もしたいことがなかった。 薄々感づいてはいたけど、俺って生き甲斐がないんだ。 寝る前の空想だけを楽しみに生きてたとこがあるな。