コピーフォーム
□ハンドル
□メッセージ
二人は顔を見合わせ、同時に首をふる。 「いや、無理じゃないかな。だってさ、クスノキさんとミヤギさんですら喧嘩するんでしょ? あんなに仲良しの二人でさえそうなるなら、俺たちが喧嘩しないわけがないじゃん」 気付けば俺はぼろぼろ泣いていたな。 二人は、そんなみっともない俺をなぐさめてくれた。 で、驚いたことに、俺の想像している以上に俺のことを知ってるやつは多いらしくてさ。 “またクスノキが新しいことやってるぞ”って感じで、徐々に俺の周りには人が集まってきたんだ。 俺はミヤギとは喧嘩別れしたってことにしといた。 向こうが俺を見限って、捨てたってことにしたんだよ。 「ミヤギはクスノキの何が気に入らなかったんだろう?」女子大生っぽい眼鏡の子が、怒ったように言う。 まるで本当にミヤギが存在したかのような口ぶりでさ。 「こんな良い人をおいて消えるなんて、そのミヤギってやつは、本当ろくでもない女だな」 若いピアスの男はそう言って、俺の背中を叩いてくれた。 俺は何か言おうとして顔を上げて、でもやっぱり言葉につまって… ――そのとき、背後から声がしたんだな。 「そうですよ、こんな良い人なのにねえ」って。